書見台の制作

 音楽を聴きながら本を読みたいと思うのですが、机の上に置くと、覗き込むように見ることになり、姿勢が悪くなります。手に持てば見やすい位置にはなるのですが、厚さのある本は重さもあり疲れます。色々な書見台が販売されていますが、どれもしっくりしません。ある程度厚みのあるハードカバーの本を読むための書見台を作ることにしました。

自作書見台
自作書見台

2021年9月掲載


表紙の開き角度


 厚みのあるハードカバーの本を、読み始めや読み終わりに近い時に水平面で開くと次の写真のように、背表紙が垂直になりページ数が少ない側が無理な形になりうまく開きません。

水平面
ハードカバーの本を水平面に置く

 手に持って読んでいる時は、左右のハードカバーは180度に開くのではなく、少し閉じた状態にしています。少し閉じていれば、次の図のように、右のぺーじから左のページに目を移す場合、本の位置や体の位置は変えずに頭を少し回転するだけで正面に向き合えます。本にとっても、人にとっても左右のハードカバーは少し閉じているのが良いように思います。

本を手に持つ
本を手に持った場合

 左右のハードカバーの開き角度を変えて、本に無理がなく、読みやすい角度を調べました。私の場合125度が良いようです。125度にすると次の写真のように、読み始め読み終わりでは、本の自重で背表紙がうまく斜面になじんで負担がかからず、本の中ほどを読んでいる時は左右均等な位置に収まります。

読み始め読み終わり
読み始め読み終わり
本の中ほどを読んでいる時
本の中ほどを読んでいる時

本の位置


 本を机の上に置くと覗き込むようになり姿勢が悪くなります。また本の上部は遠くに、下部は手前にと距離が変わりしっくりしません。パソコンのモニターは垂直に立てているので、本も立てることにします。ただ、私の場合、パソコンの画面までの距離は65cmですが、本は手に持って読む場合で35cm程度と近くなります。本を60度まで立てると本の上部が顔に近づきすぎて圧迫感があります。次の図のように、傾斜は50度が良いようです。また私の使用している机の上面は床から71cmですが、7cm持ち上げると読みやすいように感じました。

本の位置
 本の位置

本のサイズ


本の大きさの分類

 本のサイズの標準規格はあるようですが、様々なサイズが使われており規格値で書見台の寸法を決めるのは難しそうです。手持ちの本を大きさで分類しました。寸法は、縦mmx横mmx厚さmmで示しています。縦横は、近い寸法のものの内の最大値です。厚さも最大のものです。

(1)教科書より一回り小さいサイズ

 単行本でよくあるサイズ 195x140x36 

(2)教科書サイズ

 手持ちの全集はこのサイズ 218x158x43 

(3)教科書より少し大きいサイズ

 手持ちの一部の全集のサイズ 225x163x37 

(4)教科書より一回り大きいサイズ

 大判の専門書 265x195x38 

(5)大きいサイズ

 もっと大きいサイズのものもありますが今回は対象外としました。

書見台に乗せる本の大きさ

 あまり大きいと机の上で邪魔になりそうなので、欲張らずに(4)のサイズはあきらめて(1)~(3)のサイズをカバーすることにします。縦は225mm、横は158mmに厚さ43mmを加えて201mmとなります。


構造


125度に開いた本置台

本置台
本置台

 重い本を受け止めるので、厚めの18mmの集成材で作りました。縦250mm、横は片側205mmと少し大きめの寸法の2枚の板を125度の角度で接着し、下からはネジ止めです。


台座

台座
台座

 厚さ18mmの底板の後部に2x4材のストッパーを裏からネジ止めしています。

台座ストッパー
台座に調整版を装着

 ストッパーの前に厚さ9mmの調整板と、本置台を置く受け台を置きます。受け台は、2x4材で作りました。ネジ止めを予定していましたが、置くだけで安定します。調整板の長さを変えると本置台の傾斜角を変えられます。
 受け台の両端に2cm角の黒いゴムシートを滑り止めに貼り付けました。この上に本置台を載せます。


全体の構造

 受け台と本置台は蝶番で接続する予定でしたが、厚めの板材を使用したのでどっしりとしており、乗せるだけで安定します。このまま使用しようと思います。

書見台全景裏
書見台全景裏
書見台全景
書見台全景

ページ押え


 市販の書見台には、左右または上下にページ押えが付いています。お手本のように、特定のページを開いておくにはページ押えが便利だと思います。ただ、読み物の場合ページをめくるのに、ページ押えが邪魔になります。色々構造を検討しましたが、良い方法が見つかりません。ページめくりは手で行うことになるので、ページは手で押さえることにします。

ページ押え
教科書サイズより少し大きい本
ページ押え
教科書サイズより一回り小さい本

書見台からはみ出る大判の本の場合


 大判の月刊誌(285mmx210mm)などにも使用することができます。ただ、グラビア印刷の光沢のあるページを開くとページの上部に部屋の照明が映りこんで眩しくて見ずらいです。台座を低くして本置台の傾斜を70度まで立てると解決します。
 台座を組み替えることによって、大判の月刊誌などにも適したものにしたいと思います。

ページ押え
台座の組み換え

 調整板を取り除き、本置台を置く受け台を立ててストッパーの前に置きます。受け台にV字形の切り込みを加工しました。

ページ押え
書見台70度バージョン裏
ページ押え
書見台70度バージョン

 本置台は底板の上に置きます。受け台のV字形の切り込みに嵌め込みます。前に倒れないように下に20度に加工した楔を差し込みます。それぞれ、底板に置いていくだけですが、安定しています。後ろに倒れそうに見えますが簡単には倒れません。

書見台70度バージョンとはみ出る本
書見台70度バージョンとはみ出る本

 大判の月刊誌(285mmx210mm)の大きさになると、傾斜は50度より70度の方が見やすいようにも感じます。気に入ったグラビア印刷のページを開き、少し離れて眺めるには70度の傾斜が最適です。照明の映りこみを避けるのが目的でしたが思わぬ発見でした。
 ページ押えとして右端にネックレスを垂らしています。重みのあるネックレスやチェーンが便利に使えます。


後記


 書見台を使って本を立てると自然に背筋が伸びて姿勢がよくなります。台座(250mmx160mm)を小さく絞ったので思ったほど机の上で邪魔になりません。常時机の上においています。本を開いたまま机の上に置いておけるのは大変便利で、本の楽しみが増します。
 書見台からはみ出す大判の月刊誌などは、70度バージョンに組み替えて使っています。台座の組み替えも苦にはなりません。使い勝手は上々です。しばらく様子をみて塗装をしようと思っています。