赤外線電気ストーブのヒータの背後には鏡面の反射板があり、赤外線を反射し、反射板それ自身はそれほど熱くならないようです。ただ反射板では、真空管に輻射熱を戻すことになり、悪影響が心配です。またパワーアンプは、わたしの真正面にあるので、反射板が真空管の後ろにあると周囲となじまず、フィラメントのオレンジの輝きを楽しんでいる気持ちがそがれます。
薪ストーブと背後の壁の間に置く遮熱板は、黒いものが多いようで黒くても効果がありそうです。輻射熱は、遮熱板に吸収されその温度は上昇しますが、遮熱板は、対流と熱伝導によって冷却され、その温度は抑えられます。遮熱板の温度が200℃以下なら輻射はほとんどなく、熱の移動は対流と熱伝導が支配的になります(1)。遮熱板が100℃程度で熱の移動が対流と熱伝導がほとんどであれば、遮熱板とトランスの隙間が5mmあれば空気層で十分断熱されると思います。
UV-211真空管を発熱量75Wの状態で使用します。
遮熱板は厚さ0.35mmの亜鉛メッキ鋼板(トタン)と厚さ1mmのアルミ板を、225mmx70mmにカットしてL字に曲げ、片面を黒に塗装します。
UV-211真空管から25mmの位置に測定用のトランス(LUX CQ-5B)を置きます。トランスに通電はしません。温度飽和後(2hr後)トランスの表面温度を測定します。
表面温度は、真空管に近い面で最高44℃でした。ただし、少しずれると温度は下がり、側面では、38℃でした。
トランスをUV-211真空管から50mmの距離まで離すと、真空管に近い面で39℃、側面では34℃でした。
UV-211真空管から25mmの位置に測定用のトランスを置きます。トランスに通電はしません。トランスから5mmの位置に遮熱板を置きます。温度飽和後(2hr後)遮熱板とトランスの表面温度を測定します。
トランスの表面温度は、真空管に近い面で最高35℃でした。ただし、側面では、32℃でした。遮熱板の表面温度は最高部分で69℃でした。
亜鉛メッキ鋼板製と同じ条件で、遮熱板とトランスの表面温度を測定します。トランスの表面温度は、真空管に近い面で最高35℃でした。ただし、側面では、32℃でした。遮熱板の表面温度は最高部分で59℃でした。
26℃
UV-211真空管から25mmの距離に測定用のトランスを置くと、トランスの表面温度は、最大のポイントで18℃上昇しました。遮熱板をトランスから5mmの位置に設けると、トランスの表面温度は最大で9℃の上昇に抑えられました。
真空管の輻射熱により、トランスが思っていた以上に加熱されていること、また遮熱板の効果が大きいということが解りました。亜鉛メッキ鋼板とアルミ板では、効果に大きな差はありませんでした。ただ、遮熱板そのものの温度上昇はアルミ板の方が小さくなりました。
亜鉛メッキ鋼板製の黒い遮熱板のUV-211真空管からの距離を変えて、遮熱板の表面温度の最も高い部分を測定します。
真空管からの距離 25mmのとき 62℃
真空管からの距離 50mmのとき 54℃
真空管からの距離 75mmのとき 46℃
26℃
真空管からの輻射熱の影響範囲が考えていた以上に広範囲であることが解りました。
トランスと出力管の距離は大きくても50mm程度でしょうから、大形の出力管を使用する場合は、出力管からの輻射熱の影響は避けられないと考えられます。また、遮熱板の効果が大きいことが解りました。トランスを大切に使っていくために、黒い遮熱板の設置を前提にしていこうと思っています。
今回、放射温度計を購入し温度の測定をしたことにより新しい発見もありました。放射温度計を活用していきたいと思います。ただ、校正された方法で測定しているということではないので、結果にはかなりの誤差が含まれていると思います。