2019年10月掲載
2021年5月更新
文章を一部訂正。
文章を一部訂正。
私は、幅2.7m、奥行き4.5m、高さ2.4m の一般的な7.5畳の洋室で、音楽を聴いています。この部屋で、スピーカーのセッティングについて、いろいろ試みた後に辿り着いたのが、スピーカーを大きく内側に振り左右のスピーカーの中心軸を聴取位置の手前で交差させるという方法です。中心軸を交差させるので、これをクロスセッティングと呼ぶことにします。
壁面からの反射の影響を低減するために、スピーカーは壁面から少し離して設置するのが、一般的です。しかし、左右のスピーカーの間隔が狭くなり、音像も小さくまとまってしまいます。舞台に広がったオーケストラを感じるためには、スピーカーの間隔を壁面いっぱいまで広げたい。
スピーカーを壁面に近づけると、壁面が音に対する鏡になり、壁の向こうに鏡像としてスピーカーが現れます。実体のスピーカと鏡像スピーカーにより音像がピンボケになります。
左右のスピーカーを少し内側に振ると、鏡像スピーカーは外を向くことになり、壁面の反射の影響は低減されます。このセッティングで使用していましたが、聴取位置で、例えば頭を左に動かすと音像が大きく左に移動します。音像が左右に移動すると、どうしてもゆったりとした気持ちで聴けません。
スピーカーを大きく内側に振り左右のスピーカーの中心軸を聴取位置の手前で交差させます。この交差するポイントより後ろで聴くと、頭を左右に動かしたときの音像の移動量が小さくなるように感じました。この状態で約1年聴いていますが、この方法が一番良いように感じます。
スピーカーは中心軸上で音圧が最も大きく、中心軸からずれるほど音圧は低します。次に指向特性の事例を示します。
日立Lo-D HS-500の指向特性です(カタログより抜粋)。5000Hz 30°では約3dBの低下となっています。
JVCのSX-XD303のカタログに記載されている比較のためのJVCの通常のフルレンジスピーカーの指向特性です。6kHz~10kHzの範囲で、30°では、10~20%の低下となっています。
左右のスピーカーの中心軸が聴取位置の背後で交差する場合、聴取位置を例えば左に移動すると距離としては左スピーカーに近づき、スピーカーの中心軸からの角度も小さくなり、距離と角度が相まって左スピーカーの音圧が大きくなります。右スピーカーは、逆に距離と角度が相まって音圧が低くなります。したがって音像が左に移動することになります。
左右のスピーカーの中心軸が聴取位置の手前で交差する場合、聴取位置を例えば左に移動すると距離としては左スピーカーに近づき、音圧が大きくなりますが、スピーカーの中心軸からの角度は大きくなりその分音圧は小さくなります。距離と角度が相反するように働くので、音像の移動が小さくなります。
現在では無指向性のスピーカーも広く実用化されていますが、一般的なスピーカは指向特性を持っています。指向特性については、あまり注目されてないように思われ、公開されているデータも多くないようですが、私は指向特性を利用したこのクロスセッティングが気に入っています。