16Ω-600Ω ラインブリッジ(双方向変換セレクター)

 コントロールアンプとパワーアンプの間は、ケーブルの長さで10m程度あり、600Ωの平衡伝送路で接続しています。ただ、2次インピーダンス16Ωの汎用のトランスをライン出力に使用し、入力側は1次側と2字側を逆に接続し使用すると、16Ωの平衡伝送路ができます。
 2次インピーダンス16Ωの汎用のトランスが使用できると、トランスの選択の範囲が広がり自由度が増すように思います。ここでは、600Ωと16Ωの平衡伝送路の選択と相互に接続するためのインピーダンス変換器を制作します。
 双方向変換セレクターでは解りにくいので、コンピュータネットワークの”ブリッジ”という機器名を借りて”ラインブリッジ”と呼ぶことにしました。

16Ω-600Ω双方向変換セレクター
16Ω-600Ωラインブリッジ(双方向変換セレクター)

2022年4月掲載


2つの平衡伝送路とラインブリッジ


平衡伝送路の構成

 "3A5真空管コントロールアンプ"“UV-211送信管パワーアンプ"は、600Ω平衡伝送路で接続しています。これとは別に、16Ω出力の“6922ドライバーアンプ"は、計画中の16Ω入力のパワーアンプと16Ω平衡伝送路での接続を予定しています。平衡伝送路を共用するために、送り出し側と受け側にセレクターを設けます。また相互に接続ができるように送り出し側にマッチングトランスを設け、16Ωと600Ωとの双方向変換ができるようにします。

平衡伝送路の共用
2つの平衡伝送路の計画

 16Ω出力の6922ドライバーアンプを600Ω入力のUV211パワーアンプに直接接続することは可能です。ただ、この場合√(16/600)=-16dBのゲインロスとなります。トランスでインピーダンスをマッチングさせるとこのゲインロスがなくなり、増幅段数の削減など回路のシンプル化が狙えます。

ラインブリッジ

 ラインブリッジ(双方向変換セレクター)の回路の概要と回路図を示します。マッチングトランスには、シングル用の出力トランス春日KA-1280を使用しています。

単線結線図
回路の概要

 

16Ω-600Ωラインブリッジ双方向変換セレクター回路図
16Ω-600Ωラインブリッジ(双方向変換セレクター)回路図

ケースの制作


材料

 ケースの制作工程を少し紹介します。2mm厚のアルミ板と60x30x3mmのアルミチャンネルを使用します。今回は、横山テクノ"https://www.yokoyama-techno.net/detail/44.html"で切断品を購入しました。

アルミ板とチャンネル
アルミ板とチャンネル

加工

 穴などを加工します。大きな穴はステップドリルとリーマで広げます。アルミチャンネルは厚さが3mmあるので、リーマで広げるのは、かなり大変です。

道具
ステップドリル(上)リーマ(中)タップ(下)
道具2
使用したその他の主な道具

仮組み立て

 ボール盤は持っていないので精度はあまりよくないです。仮組み立てをして修正しながら加工します。

加工仮組み立て
加工したアルミ板とチャンネル

塗装

 塗装面は、サンドペーパーで磨いて汚れや傷を取り除いておきます。アルミの接触面は導電性を保つために、養生テープでマスキングしプライマーを塗布し、いったん乾燥します。下地処理の手を抜くと塗装がはがれてしまいます。塗料は黒の艶消しに決めています。塗料のメーカーが変わっても色の違いが少ないです。塗料を塗布してケースは完成です。

塗装
塗装

組み立て


 ケースにスイッチやトランスを取り付けて配線すれば完成です。

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16Ω-600Ωラインブリッジ(双方向変換セレクター)背面
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16Ω-600Ωラインブリッジ(双方向変換セレクター)内部

後記


 マッチングトランスが余分に介在することになりますが、気になるような影響はないように感じます。600Ωと16Ωの平衡伝送路が使用できると、いろんな構成のパワーアンプができそうに思います。
 半導体のアンプでは元々出力が低インピーダンスで、インピーダンスにこだわることはないのかも知れませんが、真空管では出力インピーダンスを低くすることが課題の一つだと思います。16Ωの平衡伝送路はあまり使われていないようですが、色々試してみたいと思います。